睡眠時無呼吸外来
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは?
パートナーや友人から「いびきがうるさい」と指摘され、気にしている人は多いのではないでしょうか?いびきは、口、鼻、喉の空気の通り道に何らかの問題がある場合や、肥満、女性ホルモンの低下、ストレス、アルコール摂取など生活習慣や年齢などが原因で発生します。約7割の人が寝ている間にいびきをかきますが、その中でも呼吸状態が不安定で、一定の頻度以上に呼吸が停止してしまい、危機感を感じた脳が覚醒反応を起こして、「睡眠の質」が悪くなることで、起きている時にも様々な悪影響を及ぼす病気が睡眠時無呼吸症候群です。ちなみに睡眠時無呼吸症候群の患者さんの約95%はいびきをかいています。
何が身体に起きているのか?
睡眠時無呼吸症候群の患者さんにおいて、最も気にするべき状態として、「日中に最高のパフォーマンスが発揮出来ない」ことが挙げられます。本来、睡眠とは、心と身体を休めて疲労を回復させ、明日の鋭気を養う時間でもあります。ところが、毎日の大切な睡眠中に、身体が酸素不足に曝され、脳が浅い睡眠状態を強いられていたのでは、疲労回復どころか益々疲労が蓄積してしまいます。朝、目覚めても体調が優れず、倦怠感があり、頭が冴えず集中力がない状態で、隙があればウトウトしてしまう…。このような状態では、良い仕事が出来るはずがありません。自律神経のバランスから診ると、通常、日中は交感神経というアクセルが優位に働いて「動」の状態にあり、就寝中は副交感神経というブレーキが優位になり「静」の状態にあります。ところが、睡眠時無呼吸症候群があると、就寝中も脳に覚醒刺激が伝わり、一日中アクセルを踏みっぱなしの「動」の状態が持続します。この結果、日中の自律神経やホルモンバランスが崩れ、血圧や脈拍の変動が激しくなり、血管にストレスが加わることで動脈硬化が進みやすくなってしまいます。
どうやって調べるのか?
まずは、クリニックを受診して頂き、睡眠障害を起こす他の病気がないかどうかを診察した上で、ご自宅で出来る睡眠時無呼吸簡易検査を行います。手の指にパルスオキシメーターという酸素飽和度を測定するセンサーを、鼻の下に気道の狭窄や呼吸の状態を調べるセンサーを一晩付けてもらい、睡眠中の呼吸変化の有無、呼吸低下や停止の程度を調べます。この簡易検査で、重症な睡眠時無呼吸症候群が見つかれば、CPAP療法(後述)へと進めて行きますが、中等症であれば更に詳しく、睡眠と呼吸の質に関する精密検査を行って、治療の必要があるのか、どのような治療が適切かを検討します。精密検査は、当院の個室に一晩入院(夕方に入院して翌朝に退院)して頂き、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査を行って評価を行います。
どんな治療があるのか?
睡眠時無呼吸症候群の原因が、アデノイドや肥大した扁桃、長い口蓋下垂による気道狭窄である場合には、耳鼻科的に手術を行うことで根治療法となる場合があります。また、軽症~中等症の睡眠時無呼吸症候群であれば、スリープスプリントと言われる歯科装具(マウスピース)を作成し、下顎を上顎より前に出して固定することで気道を広げることにより、改善する場合もあります。重症の睡眠時無呼吸症候群に対する世界的にスタンダードな治療法は、CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法と言われる経鼻的持続陽圧呼吸療法です。CPAP装置からチューブにつながった鼻マスクを装着して眠ります。原理は、寝ている間の気道の狭窄や閉塞による呼吸の低下や停止を防ぐために、気道に空気を送り続ける方法です。最適な設定を行えば、快適に寝ることが出来ます。
治療の継続について
CPAPを導入すると、装置の作動状況や、睡眠時無呼吸の治療状況を確認するために、原則として毎月1回の外来受診が必要となります。けれども、CPAP療法を行っている患者さんの多くは、仕事で忙しい世代の方が多く、月一回の通院は時間的な負担になると考えていますが、当院は土日祝日も診療しております。